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環境問題に関するテーマの簡単な内容説明

○オゾン層破壊
 地球をとりまく大気中の高度15〜35kmにはその他の部分に比べオゾンが多く存在しており、このオゾンを多く含んだ大気の層をオゾン層という。オゾンには紫外線をはじめとする日射を吸収する作用がある。このため、オゾン層は生物に有害な紫外線を吸収することで地上の生態系を保護するとともに、日射を吸収することでオゾン層付近の大気を暖めている。
 しかし、近年、人造物質であるフロンによりオゾン層の破壊が進んでいる。フロンは化学反応を起こさない安定した便利な物質としてスプレーの噴霧剤や半導体などの洗浄剤、クーラーなどの冷媒として広くりようされ、大気中に大量に排出された。地表付近では化学反応を起こさないフロンも対流活動や拡散などによって上空に運ばれ上空数十キロに達すると、紫外線の作用で分解され塩素原子が遊離される。フロンから遊離された塩素原子はオゾンによる酸化と酸素原子による還元を繰り返しながらオゾン層のオゾンを減少させ、オゾン層を破壊していく。このままオゾン層の破壊が進むと、紫外線がオゾン層で十分に吸収されずに地表に届くようになるため、皮膚ガンが増加するなど人間を含めた生態全体に大きな影響を及ぼすとともに気候変動への影響が懸念される。

○酸性雨
 工場の煤煙や自動車の排気ガスから大気中に放出された硫黄酸化物(SOx)や窒素酸化物(NOx)は大気中で化学反応を起こして硫黄や硝酸になります。これが雲粒に取り込まれると硫黄雲や硝酸雲となり、強い酸性をもつ硫酸雨や硝酸雨を降らせます。 実は、通常の雨も弱酸性であり、pH5.6以下のpH値を示す雨を酸性雨と呼びます。
 大気中に放出されたSOxやNOxは気流に乗って遠方まで運ばれることから、欧米では国境を越えた問題になっています。酸性雨による河川の酸性化、土壌汚染など深刻な問題があり、様々なところでSOx、NOxの削減が実行されている。

○リサイクル問題(ゴミ問題)
 わが国は多くの人口を抱えながらも、経済的発展と豊かな生活様式の実現を果たしてきました。その一方で、大量生産・大量消費の社会システムが定着し、資源の浪費につながる「使い捨て文化」を生み出しています。わが国は天然資源に恵まれないため、原材料の多くを諸外国から輸入していますが、毎年大量の物資が輸入され、消費や輸出されるものを除いた物質が、製品や建築物の形で国内に蓄積されています。これらはいずれ何らかの形で廃棄物として処理・処分されなければならず、今後わが国において廃棄物問題が一層深刻化することは避けられません。また、量の増大だけでなく、廃棄物の質の面においても、国民生活の高度化・ハイテク化によって処理困難な廃棄物が増加するなど新たな問題が起こっています。
 生活環境を良くするとともに地球環境への負荷を減らしていくためには、まず廃棄物の発生量を減らしていくことが重要です。しかし、廃棄物の減量化やリサイクルの必要性が叫ばれて久しいにもかかわらず、これらは十分に進んでいるとはいえません。大量生産・大量消費による環境への負荷を廃棄物処理という形で下流にしわ寄せする現在の社会システムは既に限界にきており、製品の開発・製造・輸入・流通・消費・排出・回収・再生利用の各段階において、廃棄物の発生を抑制し、リサイクルを推進する社会システムを築き上げていくことが必要です。そして、そのために様々な課題への取り組みが求められ、検討が進められています。

○地球温暖化
 地球温暖化とは、人間の活動が活発になるにつれて「温室効果ガス」が大気中に大量に放出され、地球全体の平均気温が上昇する現象のことです。二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、亜酸化窒素(N2O)、フロンなどが温室効果ガスと言われています。
 地球では、「太陽から届く日射が大気を素通りして地表面で吸収され、加熱された地表面から赤外線の形で熱が放射され、温室効果ガスがこの熱を吸収し、その一部を再び下向きに放射し地表面や下層大気を加熱する」という仕組みにより生物の生存に適した気温に保たれています。ところが近年、産業の発展や森林の開拓など人間活動の活発化に伴って温室効果ガスの濃度が増加し、大気中に吸収される熱が増えたことにより、地球規模での気温上昇(温暖化)が進行しています。そのため、気候メカニズムが変化し異常気象が頻発する恐れがあり、ひいては自然生態系や生活環境、農業などへの影響が懸念されています。

○大気汚染
 大気汚染とは、火山噴火などの自然災害でではなく、人間の経済・社会活動による物質の燃焼などによって大気が汚染されることをいう。大気汚染物質には、一酸化炭素、硫黄酸化物、窒素酸化物、炭化水素、有機塩素化合物、鉛化合物、重金属などがある。日本では、高度経済成長期に問題になり、以来、窒素酸化物、フッ素化合物、アスベスト粉塵などによる大気汚染が数多く発生している。
 現在では、これらに加えてオゾン層を破壊するフロン、二酸化炭素などの温室効果気体、酸性雨の原因である窒素酸化物、硫黄酸化物など、地球環境を破壊する大気汚染物質が問題になっている。

○資源とエネルギー
 現在、我々の身の回りには、"何とかシート"や"何とかティッシュ"など便利な使い捨ての生活用品があふれています。このような生活水準の向上による人間一人一人の活動量の増加と人口の増加が、資源とエネルギーの消費量を増大させ、それらの残渣が環境中に大量に蓄積した結果、現代社会は気候温暖化や大気、海洋、土壌汚染など地球規模から地域規模にいたる深刻な環境問題に直面しています。これからは、資源とエネルギーの消費と環境問題の密接な関係を理解し、限りある資源の有効利用およびリサイクルを行うことが望まれる。


○エネルギーと環境

快適な文化生活を営むためには、一定の経済成長が必要で、そのためにはエネルギーの消費が不可欠です。しかし、石油・ガソリンなど化石燃料の消費の増加、フロンガスの利用のため人類は地球温暖化、酸性雨などの環境問題に直面しています。今後は、エネルギー需給安定、経済成長、経済成長、地球環境保全の3つのバランスが求められます。

○技術革新と自然環境
 産業革命以来、技術革新は高度な工業化社会を実現し、幾何級数的な経済成長をもたらした。それが人類の繁栄に大きく貢献した反面、人口の急増とともに、地球の温暖化、酸性雨、オゾン層の破壊、森林破壊、砂漠化、海洋汚染、土壌水質汚染、またそれに続く生態系の破壊など、地球規模の深刻な環境問題を引き起こす結果となった。その再生は、限界に急速に向かいつつあり、物質的繁栄をもたらす結果となった大量生産・大量消費・大量廃棄という社会システムの在り方自体が根底から問われている。