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本学への寄付

グローカルな視点で考える山口県の歴史・文化・自然・産業

2016年採択プロジェクト紹介(4)


プロジェクト名:グローカルな視点で考える山口県の歴史・文化・自然・産業
研究代表者:楮原 京子 講師(教育学部)

概要を教えてください。

 山口県はグロ-バルな視点を持つ歴史が展開された地であり、そうした歴史から醸成された文化や産業、あるいは歴史を支えた自然を通しながら、郷土から世界を見渡すことのできる恵まれた地でもあります。しかし、こうした地域の魅力とも言える事柄が、人々に広く理解されているとは言いがたく、地域学習の土台となっている学校現場においてもそのような教育は、あまりなされていないのが現状です。

 そこで、本研究プロジェクトでは、中・高・大の連携体制を築き、各学校において「山口と世界」を考える山口歴史マップを作成し、それらの成果を集約、発信するものとしてICTを活用したインタラクティブな地域学習サイト「やまぐちアーカイブ」の構築を目指します。特に、中・高・大の連携においては、教員同士の研究活動のみならず、実際に生徒や学生の地域学習の一環として、身近な地域の歴史を掘り下げ、そこから見えてくる山口と世界とのつながりを、フィールドワークも交えながら考える活動を実施します。それは、まさに「山口県教育振興基本計画」が掲げる「郷土に誇りと愛着を持ち、グロ-バルな視点で社会に参画できる子ども」の育成を実現しようとするものであります。また、歴史を掘り下げる中で、そうした歴史が生まれた背景を、社会や政治など人文的要素のみならず、自然的要素との結びつきを含めて検討することにより、地域の自然環境を深く知る事につながると考えます。子どもたちを通して、未来へと人の流れがつながっていく「学校教育」という場を活かし、地域の魅力を理解し、他者に、そして世界に、誇りを持って発信できる人材が育つ基盤を、この山口県に創造したいと思います。

プロジェクトを計画しようと思ったきっかけは何ですか?

 時代は遡って鎌倉時代、奈良の東大寺を再建するために使った木材は、山口市徳地の木材が使われたとされております。当時、木材は川の流れを利用して運ばれていました。
 ある飲み会で、たまたま隣に座った高校の先生と、徳地の木材を、当時どのようなルートで奈良の東大寺まで運んだのだろうか?ということで話が盛り上がり、実際の地形や川の特徴を踏まえて、ルートを考えてみるとどうかなど、歴史をいろいろな分野からみると、さらに面白いと思ったのが最初のきっかけです。(笑)

具体的にどのようなことをするのですか

 実際に歴史の舞台となった現地に行き、見たり聞いたり触れたりする、フィールドワークを中心に考えています。そこで得た情報を、デジタルデータに置き換えて専用サイトに掲載し、利用者自らが学べるものをつくる予定です。学校の先生たちや地域の人たちなどにも使ってもらえる、使いやすいものをつくっていきたいと考えています。

 フィールドワークの場所として平成28年度は、先ほどお話しした東大寺の大仏に使われた銅の産地と言われている長登銅山や、弥生人の人骨が見つかった土井ヶ浜、古代渡来人が作ったのではないかと想定している古い石垣がある光市の石城山を予定しています。

最後に一言お願いします。

 皆さんが大学入学試験を突破し、山口大学に来たわけですから、ただ普通に過ごすのはもったいないと思っています。山口県には大変面白い歴史があるので、色々な角度から見て学んで欲しいですね。
 この「色々な角度から見ること」を身につけると、地域が変わったとしても、他の人よりも広く深くその地域を知ることができます。これは俗に言う「気の利いた人」に通ずるものがあり、他の人が気づかない事に気づく、そのことで新しい発見が生まれるなど、研究者や社会人にも大切な視点です。
 この能力を身につけるためには、日々、色々な方向を見て観察する癖をつけるようにしたら良いと思います。サポートしていただける学生の募集も行っていきたいと思いますので、是非ご応募ください。

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