米国における2010年の環境・エネルギー政策に関する資料集
- 山口大学大学院
- 技術経営研究科
- 教授 福代和宏
- (Last updated: August 8, 2012)
本ページでは,2010年2月〜2011年1月に米国政府が公表した,環境・エネルギー政策に関する声明・報告書等に関する簡単な説明と,それらの資料へのリンクを掲載する(情報提供:福岡アメリカンセンター・レファレンス資料室)。
【追記 2012-08-08】 オバマ政権の長期エネルギー政策集である"Blueprint for a secure energy future"へのリンクも追記した。
オバマ政権の長期エネルギー政策
Blueprint for a Secure Energy Future (2011年3月30日)
2011年3月30日,ホワイトハウスは米国の長期的なエネルギー政策集として"Blueprint for a secure energy future"を発表。米国内での石油・天然ガス開発,省エネ施策などが列挙されている。
温室効果ガス排出量削減
温室効果ガス排出に関する年次報告書 (2010年4月15日)
2010年4月15日,米環境保護庁(EPA)は温室効果ガス排出に関する年次報告書を発表。これによると、2008年の米国の温室効果ガス排出量は前年に比べ2.9%の減少とのこと。
グリーン・エコノミーとCO2排出量に関する報告書 (2010年4月21日)
2010年4月21日、米商務省経済統計局はグリーン・エコノミーと二酸化炭素排出量に関する2つの報告書を発表:
- グリーン・エコノミーを数値として測る方法とその調査結果
- 米国の産業、政府、家庭など分野別の二酸化炭素排出量の過去10年間の推移の報告
グリーン政府とクリーンエネルギーの推進 (2010年7月20日)
2010年7月20日,オバマ大統領は連邦政府機関が2020年までに、政府職員の通勤や出張などの、間接的な活動により温室効果ガスを13%削減するこ
とを発表。2010年1月29日にオバマ大統領は、政府機関の建物で消費する燃料をクリーンエネルギーに置き換えるなど、直接的な方法で温室効果ガスを減
らしていく目標を掲げたが、今回の目標は、更なる削減を目指したもの。
また,2010年7月19日から20日にかけて,エネルギー省はクリーンエネルギーに関する初めての閣僚級会合をワシントンDCで開催。日本を含む20カ
国以上が参加。米国は他国と連携して,次世代送電網配備や大気中の二酸化炭素回収の技術開発など,クリーンエネルギーを推進する11のイニシアチブを支援
していくことを発表
再生可能エネルギー
バイオ燃料とクリーンコールに関する方策 (2010年2月3日)
2010年2月3日,オバマ大統領は,米国のエネルギー自給を高めるための方策を発表:
- 再生可能燃料基準を満たすための環境保護庁の規制
- バイオ燃料増加の資金を援助する農務省のプログラム
- バイオ燃料への融資や製造の増加と化石燃料依存の減少を目的とした省庁間作業部会の設立
オバマ大統領はさらに同日発表の覚書にてクリーンコール(環境に優しい石炭)のための炭素回収・貯蓄に関する省庁間の専門委員会の立ち上げを発表。
バイオ燃料に関するレポート (2010年6月23日)
2010年6月23日、米農務省はバイオ燃料に関するレポートを公表。レポートの内容:
- これまでの米国内の輸送用再生可能燃料への取り組み
- バイオ燃料の生産拡大・使用促進にむけた地域別の戦略
- 2022年までに年間360億ガロンの輸送用再生可能燃料の使用を目指す
グリーンパワー・パートナーシップ・プログラム (2010年8月2日)
2010年8月2日,米国環境保護庁
(EPA)は,企業・連邦・州政府・大学等におけるグリーン電力の利用を推進するために実施している、「グリーンパワー・パートナーシップ・プログラム」
について発表。このプログラムは、風力、太陽光など再生可能エネルギー源による電力を加盟団体が購入し、CO2の抑制を図るもの。EPAのホームページで
は、四半期ごとに加盟団体のグリーン電力の購入量の国内上位50団体やセクター別上位団体を発表。
エネルギー効率改善
自動車の燃費効率の基準に関する覚書 (2010年5月21日)
2010年5月21日,オバマ大統領は自動車の燃費効率の基準に関する覚書に署名。これにより、環境保護庁(EPA) と運輸省は共同で、温室効果ガス排出抑制と車の燃費効率に関する基準を策定する:
- 中型と大型トラックが初めて対象となり、2014年モデルからこの基準が適用
- 乗用車と小型トラックについては、2010年4月1日に発表された2012−2016年対象の燃費基準を基に,2017−2025年モデルを対象にしたプログラムを設立するよう指示
州レベルの取り組み
21世紀のエネルギー需要と州が直面する課題 (2010年7月25日)
2010年7月25日、全米州議会議員連盟(NCSL)が21世紀の電力需要と州政府が直面する課題についての報告書を発表。この報告書は、政策担当者を
対象としたもので、今後拡大が見込まれるエネルギー需要に対し、州政府の対応策を、石炭利用技術や天然ガスなどの分野ごとに提案。
クリーンエネルギーに関する州の活動報告書 (2010年9月8日)
2010年9月8日,全米知事会は知事会の研究・開発機関であるNGA Center for Best
Practicesがまとめた各州のクリーンエネルギーに関する活動報告書を発表。報告書では、クリーンエネルギー活動を、エネルギー消費効率、クリーン
電力、温室効果ガス排出など7つの分野に分けた調査結果と、州別にまとめられた各州政府の政策や規則などのリストが含まれている。
その他
大学で開発されたエコ技術を商業化するための支援 (2010年9月15日)
2010年9月15日,米エネルギー省は大学で開発されたエネルギー効率や再生可能エネルギーなどの最先端エコ技術を商業化するための支援プログラムを発表:
- 総額530万ドルを5つのプロジェクトに拠出
- 大学、企業、連邦政府とエネルギー省の国立研究所が共同研究する環境作りの支援
- 新しいクリーンエネルギー技術の開発と商業化を支援
米国のレアアース (2010年12月15日)
2010年12月15日,米エネルギー省は、クリーンエネルギー技術に不可欠なレアアース(希土類)の役割や需供についての分析、安定的な調達への取り組みをまとめた「重要資源に関する戦略」を発表。
BPの原油流出事故に関する最終報告書 (2011年1月14日)
2010年4月に発生したBPの原油流出事故を調査していた大統領委員会は、1月11日に最終報告書を公表:
- 事故原因:BPや作業に携わった企業の過失が重なった結果と指摘
- 米政府の危機管理体制の問題も指摘
- 安全に対する政府の規制強化と、石油・ガス業界の自己管理強化が不可欠であると提言