住宅用太陽光発電システムの普及実態
マクロ編:太陽光発電システムの導入に対する諸因子の影響
Dr. Kazuhiro Fukuyo
Professor, Yamaguchi University
Last updated: May 14th, 2011
住宅用太陽光発電システムの導入実績
都道府県別の導入実績(設備容量の累積値)は図-1の通りである。
図-1 都道府県別設備容量累積値(1994〜2007年度の累積値・1000世帯当たり)
北海道・東北日本海側・北陸・大都市周辺では導入実績が低いのに対し,中部・西日本では導入実績が高い傾向を示している。
日照時間・戸建住宅の多寡との関連が考えられる。
日照時間について
都道府県別の日照時間の平年値(1971〜2000年の平年値)を図-2に示す。
図-2 都道府県別年間日照時間(1971〜2000年平年値)
中部およびいわゆる南海道・山陽道において日照時間が多い県が見られる。
戸建住宅の割合
戸建住宅に住む世帯の割合を都道府県別に示したのが図-3である。
図-3 戸建住宅に住む世帯の割合(2005年国勢調査)
人口密度の高い都道府県においては戸建住宅の割合は低い。
日照時間・戸建住宅の割合が太陽光発電システムの導入実績に与える影響
日照時間・戸建住宅の多寡が,太陽光発電システムの導入実績に影響を与えていると仮定して重回帰分析を行った。
結果は次式の通りとなった:
s = 0.072 d + 0.690 h -142.7
ここで,
s : 1000世帯あたりの設備容量累積値 [kW / 1000世帯]
d : 日照時間 [h]
h : 戸建住宅に住む世帯の割合[%]
である。
また,日照時間はp < 0.001で有意,戸建住宅世帯の割合はp < 0.01で有意であった。
回帰式の説明力自体はそれほど大きくなく,修正済み決定係数(Adjusted R^2) = 0.390となった。
ただし,決定係数の低さは線形モデルの説明力の低さを表しているだけで,定性的には日照時間と戸建住宅世帯の割合とが太陽光発電システムの普及に強く影響を与えていると
考えられる。
考察
回帰式をもとに考えれば,いわゆる南海道(和歌山・三重・四国各県)では日照時間が長く戸建の割合も大きいため,太陽光発電普及のポテンシャルがあると考
えられる。
参考:
- 青木繁伸「Rによる統計処理」, http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/R/
- 新エネルギー財団, http://www.solar.nef.or.jp/index1.htm
- 気象庁「過去の気象データ検索」, http://www.data.jma.go.jp/
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