私たち日本人がイラク戦争の問題を考えねばならない理由は、まさに私たちがこの戦争の当事者だということにある。私たちの政府はこのアメリカの戦争を支持している。つまり私たち自身がイラク人を米軍と一緒に殺しているのだ。

だからイラク人で誰か自分の家族を米軍に殺された人が日本に来て米軍基地と自衛隊を攻撃し、米軍がよく言うように「誤差の範囲で」周りの日本人を殺したとしても私たちはそれに対してどれほどの説得力をもって抗議ができるだろうか。

すでにイラクでは日本人が5人殺された。それでも私たちは日本の国土がイラクから遠く離れているから安心している。だが、それでいいのだろうか。政治は政治家に任せている、防衛は自衛隊に任せている、だからそれは私の考えることではない、これでよいのだろうか。

日本の主権者は私たち一人一人だ。私たちはいつでも国政の最終責任者なのだ。政治家は私たちの代理人だ。代理人が間違ったことをしたときは、本人が責任を取らねばならない。そして私たちの責任は、すでにこのような命の危険を覚悟せざるを得ないところまできているのだ。「イラクの人はかわいそう」、ではなく、「イラクの人を殺している自分達」をどう考えるかこそが今、私たちに問われている。