質問・感想 回答・検討・紹介 2009・11・13の講義
 
1(講義の進め方)
 
・12月1日は休講?→です。(最終回の分は補講かレポートにする。3点。)
・前回分を一緒に提出したが→0点。講義開始時前に研究室ドアポストへ。(進め方プリント参照。)
・予習プリントを友達に出してもらっても?→よい。
・出席者情報を書く欄が狭い。→です。
 
2(内容)
 
 (ロールズ)
・現在の(日本)社会に「平等な自由」はあるか?→Yes。犯罪者を除き。
・無知のヴェール:個人の特徴をなくすことで公正なルールを作るということでよいか?→Yes (なお、p.266に詳しい説明あり。)
・格差を認めると低い方の人も取り分が多くなるのはなぜ?→無知のヴェールの下で選ばれるルールは「生産能力の低い人の取り分が多くなることを条件として格差を認める」というものだから。
 (セン)
・潜在能力の発揮:能力のある人に資源を優先的に分配し、たくさん生産してもらい、そこから再分配した方が両者の満足度は大きくなるのでは?→仕事自体からの満足度は減る。では両者の組み合わせの中から一つ選ぶ?
・何の潜在能力もないと上乗せ分はもらえない?→
・現代の資本主義社会では企業は利益の最大化を優先するが、雇用が減っていくのでは?(もしそうだと潜在能力の発揮もできない)→現実に、雇用関係は現在不安定。すると、このような雇用関係を持つ社会構造自体の改善が問題となる。(→『社会システムとしての、市場経済』)
 
・公正性を持つ人、慈恵性を持つ人の割合は?→公正性とはその社会で受け入れられているルールのこと。それに従う人は公正な人。(だが、それを変えたいと考えることもまったく問題ない。)だからほぼすべての人?
・慈恵性の意味は?→p.260,第12行。(旧版、p.195、終わりから3行。)他者の善(幸せ)の増進を期待する感情で、人間が一般に安定的にそれを持っている状態。
・経済学では人の動きを考えるときは人間は利己的な生き物と想定するのか?→ミクロ経済学の人間行動の説明は、自己の効用(消費からの満足)の最大化のためとして説明する。
・利己的な人がやはり人間らしいのか?→利己的とは自分の利益を重視することと理解できる。だが、そのような人でも他者の利益のために行動することもあるだろう。人間は両方を持つと想定できる。(問題:「他者が喜ぶのが嬉しくて、そのために行動する」ことは「自分の満足のためなのだから利己的」か?参考:神野直彦教授。利他的でもなく、利己的でもない?人間的?友愛的?)経済学もこの点を取り入れることが必要。(→寺地先生)
・ロールズ、センの議論は弱者に対する分配を考えている点が魅力的である。この考えを元に現代社会の社会保障、社会福祉などが形成されているのか?→例:憲法第25条:「健康で文化的な最低限度の生活」を保障。対象は「すべて(の)国民」。これを決めたとき、当時の日本国民は、誰のために(目的主体)これを決めたのか?弱者のためか?人の将来はどうなるかわからない。そこで、現在の弱者と、また、将来の弱者となる可能性があるすべての人のためにこれを決めた?
・公正性と慈恵性の問題がうまくいっている国は?→北欧諸国?(参考:デンマーク。『世界一幸福な国デンマークの暮らし方』PHP選書)
・最近は弱者を強く保護することが求められ、強者は独自に被害を避け、中間層が強く搾取されているように感じる。→
・今国では事業仕分けがおこなわれているが、慈恵性の面では、身体障害者、生活保護者と弱者には(それがどれほど前進したか)まだわかりにくい。今後は自治体でも事業仕分けをして欲しい。
 (ワクチンの例)
・税の払い方に応じてワクチンを打つのもありだと思う。
 
・ロールズやセンが有している感覚と、私たち日本人が有している感覚の間には微妙な行き違いを感じる。欧米の感覚を学ぶためにも聖書等を読んでみた方がよいか?→それもよい。(なお、センはインド生まれ。米国:ハーバード、英国:オックスフォードで活動。)
・センはロールズの研究を元に自らの研究を展開していったのか?→Yes。(たぶん。)
・センは理想論ということだが、なぜこんなに参考にされているのか?→訴える理想論だからでは。(つまり、ひょっとしたらそれはいいかも、できるかも、という魅力?)
・ロールズもセンも訴える力を持つが十分な理論でないのは確かだと思う。やはり現代に生きる私たちは彼らの理論を元によりよいルールを作ることが重要だと思う。
・絵を使った説明でセンの理論が非常にわかりやすかった。→講義の中で付け加わるときがある。教師にとっての講義のプラス面。
 
・スミスらは生産力向上を前提に考えてきた。生産力が向上しない、または低下するときの分配ルールはどうすべきか?→今でも短期に生産力低下がある。長期的に低下していくときは分配はどうすべきか・・・?
 
・日本は他のどの国よりもアメリカの顔色を伺っていると思う。いつになったら解放されるのか?→安全保障条約、同盟関係の必要がなくなったとき?(「仮想敵国」・・・かつてソ、中、今は?)それともすぐにでも?(武力放棄?)
・沖縄の基地問題は、返還されればその分仕事がなくなるので、どう進んでも県民は損をする。→経済的損失に対しては、他県、日本社会が選べば援助が可能。
 
 (宇都宮氏)
・貧困問題の現状を知って驚いた。
・まだ日本には解決すべきことがたくさんあるのだなと感じた。問題の表面だけでなく核心を考えていきたい。
・日本はそんな貧富の差がある国?→資料参照。