大分大学特別講演の記録
「構造改革の方針について」文部科学省・合田大学課長 (大分大学教職員組合)

 大分大学では111日(金)に、合田大学課長の特別講演が開催されました。講演内容についても特に新しい事について言及はしな
かったのですが、資料としてここに報告しておきます。

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 本講演は大分大学の学長と事務局長がハードなスケジュールにある合田課長に強く要請して、特別に講演してもらったとの紹介がなさ
れた。会場には大分大学、国立大分高専、大分医科大学の教職員150名程が1時間程度の講演を聴講した。冒頭、大学課長は講演は手短に
して、大学改革への大学からの要望について聞く時間を多く取りたいと語り、実際に30分程度の質疑応答がなされ、対話を重視する姿勢
のなかで講演は開始された。なお、講演会の前には評議会のメンバーに対して30分程度の講話も行われている。

(大学改革の背景) 
 世間と大学の間には大学についての認識に大きな差がある。世間では「大学を良くする」という課題には決して関心をもっておらず、
「世の中を良くするために大学を良くする」と考えている。現在、対峙していると言われる経済産業省と文部科学省の構図はこの事を示
しており、経済産業省は大学の位置づけを企業、社会を顧客、ユーザーとするサービスの仕事とするが、文部科学省は決してそのように
は考えておらず、将来の価値の増加を行う機関と考えていて、改革の必要性は認めるが、内部から改革を進めていく一定の時間が必要で
あると考えている。しかしながら、こうした態度は今日、社会から苛立ちをもって受けとめられ、文部科学省の態度は社会のなかでの
「抵抗勢力」として位置づけられたりする。政府の責任者達も、こうした声が強まっているなかで、改革の遅れは自らを批判されること
になり、内外の圧力のなかで、大学改革は進んできている。
(「構造改革の方針」について)
 こうしたなかで、大学人の方々とっては唐突な内容のように思われている「構造改革の方針」を6月に出した。ただし、文部科学省は
この方針の内容を決して唐突なものとは認識していない。というのは、方針や構造改革プランはこれまでの国大協、大学審等のオフィ
シャルな機関で討議されてきた延長線上にあり、それらの蓄積の上に成り立っているものである。こうした蓄積に立って大きく飛躍を
し、大学は変わるんだというメッセージを国民にストレートに伝えたかった。
 方針は大きく3つに分かれ、順番がついている。この方針の冒頭は国立大学の再編・統合がきているが、根幹にあるものは3番目の評価
に関することである。それぞれが選択をして、それぞれが選択をした結果に責任を持つ事が今日、大切だと考えている。ただし、自己責
任、競争原理の社会が行き着く先は多くの矛盾を抱えているのも事実で、両手を挙げて賛成はできない。大学の多くの部分が競争原理に
なじまないものがある。評価による大学トップ30構想はこうした文脈のなかでのあくまで象徴の1つで、それらを主導的なものとは考え
ていないし、意図的に宣伝はしていない。文部科学省では地域のなかでの大学を強化するための地域連携もバックアップしている。その
ために予算も組んでいる。確かにトップ30の予算は186億円で、地域連携は10億円と量的には大きな開きがあるが、後者は前者に勝ると
も劣らぬ意味をもっていると考えている。大学は自分の責任において発展していくものであり、国が細々と決めていくものではない。こ
れまでの大学の意思決定はどうなっているのかといえば、評議会の位置づけや教授会との関係がこれまで不明確であり、大学の責任の所
在は不明確であった。そこで評議会を明確に位置づけ、責任の所在を明確にさせる改正を行ったことはあまり知られていない。予算の執
行についてこれまで単年度処理だったものが法人化の流れのなかで裁量度が高まるが、その際、勝手な裁量では困るわけで責任の所在を
はっきりさせていくために、改正を行った。  
(大学の存在意義)
 国立大学の存在意義をどのように説明するのか。国立大学は総合大学として存立する場合が多いが、単科大学には単科大学の良さもあ
る。ただし、今の国立大学が今のまま成立していくとは考えられない。経営、社会の変化に伴った大学の存在についての解答が示されな
ければならない。そうしたなかで、大学=産業連携という論調が強く出てきている。これは知識社会の担い手として求められる1つの側
面ではある。そうした側面が今日あまりにも強すぎる。先端的なものだけではなく基盤的なものも必要なのである。一方で、大学が今あ
るものだけでそれらを賄えるかどうかは疑問である。それらを進める大学の改編を行えば既得権の見直しも出てくる。最終的には法案を
用意して対処することになるが、大学は先生達の総意によって生まれ変わって欲しい。法人化にあたっては、いろいろな形が想定され
る。大学との対話によって進めていくので、大学作りの様々な意見を担当の専門教育課に出せば、それらを検討していきたい

−質疑応答−
(教員養成系大学・学部の再編について) 
Q.教員養成系大学・学部再編については、講演ではふれられていないが、これまで地域では様々な実践を行ってきている。再編・統合
はこうした実践と矛盾し、地域に空白を作ってしまうのではないか。また、「教員養成系大学・学部再編のあり方について」では「大学
や地域のおかれた状況を勘案して」とあるが、その文言が単なる「ガス抜き」にならないように要望したい。 

A.地域の教育実践については大学だけでは決められないものである。自治体、地域の小中高がどのように考えているのか。あくまで国
立大学は国立で、大分県のためだけのものではない。地域の教育についてはやり方はいろいろある。国立大学としてどのような責任をと
るのかということをセットで考えなければならない。

以上

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