物々交換から貨幣が使われるようになる過程

 ?貨幣は何が便利なのか。

 

 パン    りんご

 


    バナナ

 

 三人の人の例で説明する。

 それぞれの人はパン、リンゴ、バナナを作っている。それぞれはこれらを作るのが上手なので、これらに専業化している。彼らは自分の作ったものをお互いに交換することで、より豊かな生活を送れる。

 だが、ある日、一人が他のある人の作ったものを欲しくない気分になったとする。たとえばパン作りの人がリンゴが欲しくなくなったとする。するとこの日はリンゴとパンが交換されなくなる。パン作りの人がこうなるとリンゴ作りの人はどうなるか。リンゴが余ってしまうだけではない。リンゴ作りの人はこの日もパンが欲しいのに、もともと物々交換が前提なので、リンゴ作りの人もパンが手に入らなくなる。パンとリンゴの間の交換がストップしてしまう。

 しかしここで三人が貨幣を持っていると、貨幣はだれもが欲しがるものなので、上の例では、リンゴ作りの人は自分の貨幣とパンを交換することで、パンを手に入れることができる。最初の例ではパンもリンゴも余って腐ってしまうが、この貨幣が使われる例では、リンゴが腐るだけである。

(ただ、これが長く続くようなら、つまりパン作りの人がずっとリンゴを欲しがらない状態が続くのなら、リンゴ作りの人はもう、その分のリンゴを作らないようになるだろう。そして代わりに、別の、もっと欲しがられるものを作るようになるだろう。)

 このように、貨幣は、物々交換が生み出す上の問題を解決したり軽減したりすることができる。これが貨幣の便利さであり、それゆえに貨幣が使われるようになったのである。

 

 *貨幣がなぜ使われるようになったかを物々交換の問題点から説明する方法としては、上の例が考えられる。これだけでも、人間が物々交換から貨幣を使う交換に進んでゆく理由としては十分だろう。(…ただ、他にもあるかもしれない。皆さんは試験の解答では別の説明の仕方を考えてみても良いです。)