山口大学経済学部主催
東アジア国際シンポジウム
韓国、中国、日本における雇用構造の変化と政労使の課題
The Transition of Employment
Structure and the Tasks of Government, Labor and Management in South Korea,
China and Japan
日時 2003年10月18日(土) 13p.m.-17p.m.
会場 山口大学大学会館(正門入ってやや左方向奥)
主催 山口大学経済学部
後援 鳳陽会(山口大学経済学部同窓会) ・山口市・(社)山口県労働者福祉協議会・JA山口中央・コープ山口・(財)国際交流協会
趣旨 後掲
** どなたでもご参加になれます。参加費は無料です。**
参加者・発言テーマ一覧
○「韓国の労働市場構造の変化」
尹辰浩(教授、仁荷大学)
YUN, Jin Ho(Professor, Inha University)
○「中国における雇用の難しさと政府の役割」
厳法善(教授、復旦大学)
YAN, Fashan (Professor, Fudan University)
○「日本の雇用情勢と雇用システムの展望」
浜島清史(助教授、山口大学)
HAMASHIMA, Kiyoshi (Associate Professor,
Labor Economcis)
○「日本のパート労働者の現況と問題点」
横田伸子(教授、山口大学)
YOKOTA, Nobuko (Professor, Korean
Economics)
○「韓国の構造改革と企業調整・人事問題」
鄭在勲(教授、仁荷大学)
JEONG, Jae Hoon (Professor, Inha
University)
○「中国における中小企業の発展と雇用問題」
高徳歩 (教授、中国人民大学)
GAO, Debu (Professor, Renmin University of
China)
○「構造改革とワークシェアリング」
李 鋌(教授、韓国外語大学)
LEE, John, Professor(Hankuk University of Foreign Studies)
○「日本の雇用流動化の問題:解雇法、期限付き雇用、非正規雇用など」
有田謙司(教授、山口大学)
ARITA, Kenji (Professor, Labor law, Social Security)
○総合コメント
張世珍
(教授、仁荷大学)
CHANG, Seh-Jin, Professor, Inha University
○ 司会
塚田広人(教授、山口大学)
TSUKADA,
Hiroto (Professor, Yamaguchi
University)
シンポジウム開催の趣旨
雇用は現代社会の人間が生きていくために最も重要なものの一つです。雇用は収入を作り出し、また生きがいを作り出します。その意味ですべての働く意欲を持つ人が満足できる雇用を得ることは、私たちの社会に不可欠なことです。
しかし今、多くの国で「満足できる雇用」は「すべての人に」与えられてはいません。失業者が多い、または雇用の内容が満足のできるものではないという問題が、ここ東アジアのいくつかの国でも大きな問題となっています。
この現状を私たちはどう考えたらよいのでしょうか。これに対して私たちは何ができるのか、また何をなすべきなのか。シンポジウムではこの問題を考えるための一つの手がかりとして、韓国、中国,日本の雇用をめぐる現状を話し合います。
雇用の問題はもちろん各国の異なった制度、経済発展の段階に影響され、また各国独自の特徴を持ちます。たとえば日本のそれは10年以上にわたる長期の不況のもとで失業率が上昇、高止まりする一方で、雇用されている者の側にも長時間労働や不安定雇用が拡大しているという特徴があります。韓国のそれはいわゆる「IMF経済危機」とそこからの急速な回復過程を経る中で失業率は低下する一方、企業の労務管理政策の変化と「新経営戦略」の急速な展開に伴い,不安定雇用が増大したという特徴があります。中国のそれは市場経済化が急速に進む中で、旧来の国有企業から解雇された人々、内陸部から沿海部の高い賃金を求めて押し寄せる人々が大量の労働力を供給し、それを吸収するに十分な労働力需要が育っていないという特徴をもっています。
先進工業化諸国が世界経済のグローバル化に直面したときの負の影響の一つは雇用関係に現れる可能性が高く、日本の場合それは、過労死、長時間労働に代表される労働強化となって現れているといえましょう。また、こうした雇用をめぐる各国の諸現象は必ずしも切り離されたものではありません。日本の失業と中国の低賃金労働力とは相関関係にあることがしばしば指摘されます。また、韓国の不安定雇用は日本の将来の姿を示唆するものかもしれないという指摘もあります。一方で、日本の国内産業保護政策が近隣諸国の雇用の成長を妨げる一要因となっているとの議論もあります。
今回のシンポジウムでは、こうした関連性を念頭におきつつ、各国の雇用の現状を正確に理解することを第一のねらいとします。さらにそこにおける相互比較によって各国の雇用問題の共通点と相違点を見出し、それが自国の現状を時間的、空間的次元でより正確に理解する助けとなるならば、得るものはさらに大きくなるでしょう。今回のシンポジウムの開催にあたって、私たちはこれらの点に期待したいと思います。