動物介在に利用する動物について

湯川眞嘉
(日本大学生物資源科学部獣医学科実験動物学研究室)

 AAA(動物介在活動)やAAT(動物介在療法)に参加する動物は愛玩動物(犬、猫、ウサギ、モルモット、ハムスター、小鳥、)、家畜(豚、牛、馬)、イルカなど様々で、活動目的によって適した動物が参加している。動物介在に適した動物種とは使用する動物の生態、行動が明らかになっており、動物福祉 に基づいた動物利用をしなければならない。

  また人獣共通感染症、目的別動物選択の基準と適性判定、動物介在 における動物のストレス判定などをチェックすることも必要である。日本においてはAAAはJAHA(日本動物病院福祉協会)のCAPP活動や多くの団体がふれあい活動を行っている。しかし、AATに関しては、その認識も普及も遅れており、AATを治療に導入しているところは非常に少ないのが現状のようである。

  普及が進んでいない理由には、使用する動物側の問題としては欧米のように整理されたマニュアルのもとでプログラムが作成され、正しいAAAやAATの普及が図られていないのが原因と考えられる。プログラムに関わる動物が@安全:適性があり、訓練されている。A健康:獣医師による診断を受けている。B清潔等の条件を守ることを理解し、始めて活動に参加出来るのです。更に介在動物のストレスの問題も重要です。動物は想像以上にストレスを感じているものです。ストレスサインを日頃から確認しておき、普段からストレスに対する耐性を付けておくことも重要です。

  また、マナートレーニングが充分で、動物を飼っている人が人畜共通感染症の正しい知識を身に付けていることも必要なことです。

  私の研究室では数年間、「ふれあい活動時における犬のストレス」というテーマで研究を行ってきた。結果は活動参加歴が短い犬ほどストレスを感じているが、経験年数を重ねることでストレスは緩和される可能性が示唆された。今後の課題はストレス検査法の確立だと思われる。