◇装置利用の手引き◇
1.装置の概要
機種 ファルマシアバイオテク株式会社
FPLCスタンダードシステム
Contoroller:LCC-500
Pump:P-500
Motor Valve:MV-7,MV-8
Detector:UV-M
Fraction Collector:FRAC-100
Recorder:REC-482
FPLCは,タンパク質,ポリペプチドおよびその他の生体高分子の精製操作で最も汎用されるゲルろ過やイオン交換,アフィニティー,ハイドロフォービッククロマトグラフィーなどあらゆる分離を確実に行うための高性能液体クロマトグラフィーシステムです.
2.装置の原理
クロマトグラフィーとは,混合物試料を,下記に示す様々な性質のカラム(固定相)に保持させて,溶媒(移動相)をそれぞれの成分の移動速度に差が生じるような条件で移動させることで,各成文を分離する方法のことです.この装置は,粗試料を高性能カラムで分離し,溶出のパターンを紫外域でモニターしながら,各成分を短時間で効率良く分画できる装置です.
3.利用できるカラムとその性質
通常,試料溶液は,様々なきょう雑物が含まれている.その中から,目的とするタンパク質とそれ以外のきょう雑物を分離するために,それぞれの分子の持つ性質(分子サイズや疎水性,荷電など)に応じて,下記に示すカラムを何種類かを使い解るのが,一般的である.
@ゲルろ過カラム
原理 多孔質の担体による分子ふるい効果で,タンパク質を分子サイズに応じて分離する.
Superose 6HR10/30 分離範囲 5×103〜106
Superose 12HR10/30 <300,000
Aイオン交換カラム
原理 イオン交換基に,荷電したタンパク質を静電的かつ可逆的に結合させ,それよりも高イオン強度の塩溶液を用いて溶出させる.
MonoQ HR5/5 陰イオン交換カラム
MonoS HR5/5 陽イオン交換カラム
Bハイドロフォービッククロマト用カラム
原理 疎水性リガンドを結合した担体に,タンパク質を高塩濃度下で吸着させ,塩濃度を下げることで溶出させる.
Phneylsuperose HR5/5 リガンド フェニル基
Alkylsuperose HR5/5 ネオペンチル基
Cクロマトフォーカシング用カラム
原理 カラム内にpH勾配をつくり,タンパク質の等電点の差に基づいてイオン交換体と結合させて,特殊な展開溶液で溶出する.
Mono PHR5/20 陰イオン交換型
D逆相クロマト用カラム
原理 炭素数1,2,8,18の非極性リガンドを結合させた担体に,TFA中でタンパク質を吸着させて極性有機溶媒で溶出する.
Pro RP CHR5/10 リガンド C1/C8
Pep RPC HR5/5 C2/C18
4.使用方法
このシステムズは,図1にしめしましたようにコントローラーLCC-500によって制御されています.
最初に,LCC-500に流速や勾配条件などをプログラムしておけば,後は,フラクションコレクターの分画サイズを設定するだけで,サンプルのオートインジェクションからピークの分画,カラムの洗浄まで全自動で行うことができます.
5.利用に際しての注意
初めてFPLCを利用する場合は,センターに利用申請書を提出し,運用責任者の指導を受けて下さい.
現在,制御部を除いたシステム全体が10℃のインキュベーターに入っていますが,温度を変えて使用する場合や非水系の溶媒を使用する場合は,予め運用責任者にご連絡下さい.
6.FPLCの使用規則
@ FPLCに使用する溶出液には,液クロ用の超純水を用いて作成し,0.20μmのメンブレンフィルターに通した後,充分脱気してからしようすること.
A 脂質や不溶成分の多い試料は,0.20μmのメンブレンフィルターに通して,完全に除去してからApplyすること.
B 共通のカラムを使用した場合は,充分カラムを洗浄し,20%エタノール(或いはn0.02%アジ化ナトリウム)を充填しておくこと.
C FPLC終了後は,ポンプ及び,チューブ内のバッファを20%エタノールに置き換えること.
D 実験中にこぼした溶液はよく拭き取り,廃液は捨てておくこと.
E 実験終了後は,FPLC使用記録簿に使用したカラムや,バッファなどを記入しておくこと.
F 使用者のミスによる故障以外の修理費と,消耗品費は,利用者負担と致します.
7.利用申込窓口
運用責任者:堀 学(内線5719)
機器分析センター事務室(内線5773)
8.利用料金
使用者のミスによる故障以外の修理費と消耗品費は,利用回数に応じて利用者に負担していただきます.
9.その他
詳しくは,運用責任者或いは,機器分析センターにご相談下さい.