山口大学大学院医学系研究科整形外科学 HOME
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脊髄再生研究

   現在私達は、重度脊髄障害に対する脊髄再生治療法の研究開発を進めています。特に脊髄損傷を治療対象とした研究成果を報告してきました。中枢神経の再生医療分野は、次々と新たな手法を用いた治療法が開発され続けており、世界中で最も激しい開発競争が行われている領域です。今回は私達の神経再生治療に対する取り組みを紹介いたします。
私たち研究グループは、実験動物での脊髄損傷モデルを用いて、十年ほど前から新規治療法開発を行ってきました。骨髄間質細胞の移植による治療法や、生体材料を用いた人工脊髄の開発、脊椎脊髄短縮術、損傷脊髄部でのフリーラジカルの発現と新規薬剤の開発などについて紹介いたします。

①ラット脊髄損傷モデルに対する骨髄間質細胞移植とその応用
骨髄間質細胞は、自己から細胞採取が容易であるとともに、多能性細胞の存在が確認されています。こうした細胞を体外増幅させて、損傷脊髄内へと移植することで、四肢の運動機能が回復します。再生効率をさらに上げるため、in vitroにて骨髄間質細胞を神経系前駆細胞へと誘導することにまずは成功し、作成された誘導細胞移植においては新たな脊髄機能が再獲得できることを報告してきました。



   
  (図1)骨髄間質細胞から誘導される神経前駆細胞と神経系細胞

②コラーゲンフィラメントを用いた人工脊髄
細胞移植の治療効果を増幅させるためには、細胞が生着しやすい「細胞の足場」を構築してやることも非常に重要です。コラーゲン束で作られた人工脊髄の移植では、高い軸索再生効率を得ることができ、障害脊髄内での悪化した微小環境を劇的に変化させることが可能です。

(図2)脊髄間隙に移植されたコラーゲンフィラメント(CF)とCF内での再生した軸索(多数の白色・線状の突起)

③脊椎脊髄短縮術
脊髄軸索はその再生距離が長ければ長いほど再生効率は急激に低下します。そこで、脊髄そのものを
切離・短縮することで、慢性期のグリア瘢痕の除去と併せて再生効率を上げる研究を行っています。現在、補助療法と組み合わせて、その治療効果について検証をおこなっております。

④その他の研究
組織障害性の非常に強い、フリーラジカルに焦点を当てた薬剤開発なども行っています。
また陽電子放出断層撮影(Positron emission tomography)による新たな脊髄機能の評価法を開発や実際の臨床では、脊髄障害にともなう高度四肢痙縮患者様に対し、バクロフェン療法も積極的に行っております。


(図3)重度脊髄損傷後に骨髄間質由来細胞を移植し、下肢運動機能の回復したラット
また多数の脊髄損傷患者様のこれまでの治療経過を検証することで、将来のインターベンション治療の適応とタイミングについても検討しております。
重度脊髄障害に対する再生治療はもはや革新的なものではなく、すでに夢の治療法ではありません。基礎研究成果を臨床現場へと早期還元できることを日々切望し、皆様に夢の再生治療をご提供できるよう、研究員一同日々研鑽を重ねています。
  (文責:鈴木 秀典)  

 

   
   
   
 
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